じゃがいもの合唱劇24

うたものがたり なめとこ山の熊

令和5年度県民芸術祭特別参加
山形市芸術祭参加
【合唱劇版初演】

原 作  宮沢賢治
作 曲  萩 京子
 
指 揮  鈴木義孝
ピアノ  郷津由紀子
パーカッション 飯野未奈美

Staff * スタッフ 

美術・スライド 安藤 淳
照明      庄司 大也
舞台      亀井 泰樹 

Cast * キャスト 

小十郎     古澤 良彦
荒物屋の旦那  鈴木 俊明
熊       伊藤 由美

祝!「合唱団じゃがいも」第50回定期演奏会   萩 京子

 第50回定期演奏会!おめでとうございます。
 私が初めて「合唱団じゃがいも」に関わったのは、第22回のとき、1995年11月でした。宮澤賢治の「よだかの星」を合唱劇として上演しました。なんと28年ものおつきあいになるのですね。今では、そのころはまだ生まれてなかった団員の方もいるし、そのころ「子じゃが」だった団員が、もう「親じゃが」になっている事実に圧倒されます(笑)。
 私はこれまでに、「黄色のトマト」「どんぐりと山猫」「注文の多い料理店」など、「じゃがいも」のために宮澤賢治の作品を合唱劇として作曲しました。今では、各地の大学生や高校生の合唱部が、それらの作品を上演してくれています。「じゃがいも」は林光さんの作品や、吉川和夫さんの作品も数多く上演していて、それらが全国に広がっていることがすばらしく、「合唱団じゃがいも」は合唱劇のパイオニア的存在だと言えます。
 合唱劇に宮澤賢治ものが圧倒的に多いのは、賢治の作品は大勢で語り歌うとき、大きなエネルギーが生まれるからだと思います。賢治作品は合唱劇の題材の宝庫なのです。
 さて、コロナの時代となり、演劇を伴う合唱劇上演が難しい昨今ですが、今回の演奏会は、演奏会形式であったり「なめとこ山の熊」をプログラムに加えていただけるとお聞きし、とてもうれしく思っています。
 小十郎や熊、その他、魅力的なキャラクターが登場しますので、演出を伴った上演をしたらさぞや面白いだろうと思うのですが、今回は音楽で物語を楽しんでいただけたらと思います。
 実は「なめとこ山の熊」は、林光作曲の合唱劇作品がすでにあります。2010年に「じゃがいも」が初演しています。林光さんは冒頭の「なめとこ山の熊のことなおもしろい」という印象的な一文をなぜか作曲しませんでした。私は「なぜあそを作曲しなかったのですか?」とお聞きしたいと思っていたのですが、聞きそびれているうちにひかるさんは亡くなられてしまいました。私は、やはりあの一文は「なめとこ山の熊」という作品に強い印象を与えているので、作曲したいと思いました。
 私は、うたものがたり「なめとこ山の熊」を、2017年に「まがりかど」というグループのために作曲しました。合唱団ではなく、歌を歌いたい人たちの集まりで、こんにゃく座の歌役者、大石哲史さんが指導しています。そういうグループでの上演ですので、合唱部分は少なく、ソロを歌い継いでいくやり方での初演でした。
 今回は「じゃがいも」のために合唱部分を少し書き足しました。
 「生まれたよ ぼく」は、名古屋の男声合唱団クール・ジョワイエの委嘱で、「生まれたよ ぼく」「せんそうしない」「ありがとう」の3曲を、2022年9月25日に名古屋で初演しました。男声合唱団からの委嘱ですから、男声合唱曲として作曲しました。
 今回はその楽譜を元に、じゃがいも混声版として演奏します。その3曲に、同じく谷川俊太郎さんの詩による「走る」と「くらやみ」を加えて、5曲の組曲として演奏します。「走る」と「くらやみ」は混声合唱曲として作曲し、今回が初演となります。
 「みるく世がやゆら」は昨年も演奏していただきました。
 2015年6月23日の沖縄慰霊の日に開催される「沖縄全戦没者追悼式」で、当時17歳、詩を書いたご本人である知念捷さんによって朗読された詩による混声合唱曲です。私はその日のニュースで朗読の映像を見て、とても引きつけられ、翌日新聞に掲載された詩全文に感動し、ぜひ作曲したいと思いました。翌年、全国から合唱を愛する人たちを集めて3日間行われる「八ヶ岳ミュージックセミナー川上村」のために混声合唱曲として作曲し、2017年8月7日に長野県川上村の川上村文化センターで初演されました。
 沖縄の現実を17歳がどう受け止めているのか、そのまなざしがすがすがしいことばとなって、時間と空間を超えて、いまを生きる私たちに訴えかけてきます。
 詩そのものに強いちからがあり、それを歌にすることで、より多くの方に「戦争」がもたらす現実を伝えることができるのではないか、と思いました。そしてそれだけでなく、家族への愛情や沖縄の自然の美しさが盛り込まれているこの歌を通じて、希望を失わずに前へ進んでいく勇気を、受け取っていただけたらと願っています。「みるく世がやゆら」とは「今は平和でしょうか?」という投げかけです。
 
 

公演詳細

日時:2023年1216日(土) 14:00 開演 /13:30 開場
会場:山形市民会館 大ホール
入場料:一般 1,500円/学生 800円/高校生以下 無料
 
主催:合唱団じゃがいも
共催:山形市、山形市民会館管理運営共同事業体
後援:山形県芸術文化協会、山形市芸術文化協会、山形県合唱連盟

プログラム

指揮:鈴木 義孝  ピアノ:郷津由紀子
 

生まれたよ ぼく(混声合唱版初演)

 詩:谷川俊太郎  曲:萩 京子
 1 生まれたよ ぼく
 2 走る     (委嘱作品)
 3 くらやみ   (委嘱作品)
 4 せんそうしない
 5 ありがとう
 

みるく世がやゆら(2015年 沖縄 平和の詩)

 詩:知念 捷  曲:萩 京子
 

うたものがたり なめとこ山の熊(合唱版初演)

 原作:宮沢賢治  曲:萩 京子
 

フォトギャラリー 

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(撮影・編集:鈴木 康弘)